明治サステナ通信 vol.11 ~農業分野の方法論~
皆さんこんにちは!開発グループの本間です🎄
今回はJ―クレジット制度における「農業分野の方法論」についてお話しします。
前回の最後に少し触れましたが、温室効果ガス(GHG)削減の取り組みでクレジットを創るためには、その取り組みや削減量の計算方法が「方法論」として定められている必要があります。
明治サステナ通信 vol.10 ~温室効果ガ... | Meiji Dairy Advisory COMMUNITY (coorum.jp)
「方法論」という名前が堅苦しくて取っ付きにくいのですが、ざっくりと表現しますと、「J―クレジット制度ではGHG排出抑制のプランが用意されている」という感じです。
その方法論ですが、大きく分けると「省エネルギー」、「再生エネルギー」、「工業」、「農業」、「廃棄物」、「森林」の6カテゴリーに分かれています。2024年10月時点で、すべて合わせると71個の方法論があり、うち農業分野は6個となります。
【農業分野の方法論】
出典:農林水産省 農林水産分野におけるカーボン・クレジットの拡大に向けて
酪農・畜産に直接かかわりがあるのは、①牛・豚・ブロイラーのアミノ酸バランス改善飼料の給餌、②家畜排せつ物管理方法の変更、③肉用牛へのバイパスアミノ酸の給餌 の3つとなります。
手法に注目すると、①と③は給餌に関する取り組みです。そのため、飼料メニューの変更を行うことになります。②は家畜排せつ物のたい肥化に関する取り組みで、たい肥化の方法を変更するための設備投資などが必要になります。
視点を変えてGHGの発生源に注目すると、①と②はともに排せつ物から発生するGHGを抑制する取り組みです。一方、③は肉牛の生産性を高める(≒少ないエサで大きく育てる)ことで、相対的に枝肉重量当たりのGHG排出量を抑制する、というものです。
まとめると、現状ある方法論は「効率の良い給餌メニューで、排出されるGHG(余剰となった栄養素が変換されたもの)を減らす」、「排せつ物をGHG排出量がより少ない方法でたい肥化する」の2つであると言えます。
ここまでお話ししてお気づきのように、酪農分野で最も注目されている「牛のゲップ」から発生するGHGについて、実はまだ方法論がありません。
ですが、研究は日夜進んでおり、明治グループとしてもその実運用に向けた実証実験に取り組んでまいります。
日本で初めてメタン削減飼料「Bovaer®」を利用したファームノートグループ牧場における実証実験を開始
ということで、今回はここまで!次回は、J-クレジット制度に関する最後のお話として「J-クレジット制度の注意点」について解説します。